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日本酒フェアから日本の将来を読み解くと
6月11日(水)、池袋サンシャインシティに於いて日本酒フェアが開催されました。イベントレポートはいずれ記事としてご紹介します。そこに至るまでの時代背景などには触れていないので、ここで少し補足したいと思います。(本来なら記事が出てからこの文章をアップしようと思っていました。しかし、記事とこの補足は洞爺湖サミット前に読んでいただきたいという思いがあります。そこで、プロローグとして、まずはこちらをアップします)

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全国新酒鑑評会は約100年の歴史があります。明治44年次にはじまり、昭和55年次より賞が授与されるようになりました。

日本は多湿な気候であり、雑菌の繁殖しやすい環境です。その為、かつては腐造で日本酒を廃棄せざるを得なくなり、潰れる蔵元もあったと聞きます。そういう時代から、全国新酒鑑評会を通して製造技術の向上が図られてきました。

技術者として全国を駆け回っていたのが国税局の鑑定官です。蔵本を巡り歩き、仕込みの時期には泊まり込んで酒造りの指導をすることもあったそうです。日本酒のバイブル『夏子の酒』で上田久という元鑑定官の先生が登場しますが、これは上原浩という実在の人物をモデルにしています。

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『夏子の酒』で上田氏は、米や酵母の分析データを渡し、酒造りのアドバイスをしていました。

全国新酒鑑評会は製造技術の研究という一貫した目的を持っていますが、それぞれの時代背景に沿った傾向というものがあります。たとえば、かつては色が着いていることが減点材料となりました。このため、自然に生まれる色を炭濾過によって除去していました。

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本来の日本酒の色は、黄や緑のニュアンスがあります。

炭濾過という処理はかなり以前から、日常的に行われていました。今から200年前の記録で、既に澄酒(清酒)づくりに炭を使用していたとあります。炭を入れることによって透明ですっきりとした味の酒になることが知られていました。

炭濾過を行うと、色や臭いを取ることが出来ます。実はこの工程が諸刃の刃でした。業界関係者によると「炭濾過を行いすぎると線の細い、味の薄っぺらい酒質になる。昔は売れ残って返品された日本酒に炭をかけ、老ねた香りを除去して再出荷していた業者もいる」と言います。さらには「炭を使いすぎると、ある時点から著しい劣化が起こる。そこで改めて炭濾過を行うという、悪循環にはまっている業者もいる」そうです。

現在、全国新酒鑑評会では色による減点はありません。鑑定官も炭の使用量を減らすようアドバイスしているそうです。

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宮城県のブース。米と水に恵まれ、「蔵の華」という県産酒造米も人気です。

イベント当日、偶然にも千田酒造の社長に会うことが出来ました。千田酒造と言えば宮城の銘酒「栗駒山」の蔵元です。ここは5年ほど前から炭濾過ゼロの酒造りに取り組んでいます。「手早い火入れ、冷蔵での貯蔵管理をしっかりと行える環境であれば炭濾過は必要ない」と千田社長。「東北では一般的に低温長期もろみで仕込んでおり、搾ったとき既に味が調っている。その時点で良い酒に仕上がっていれば炭は要らない」と語ってくれました。

日本酒は和食ブームと同様に海外で人気が高まっています。欧米での捉え方はワインに替わる食中酒であり、料理に負けない酒質(ボリューム)が求められています。炭濾過を控える傾向は、日本酒のステータスが上がる一助となるのではないでしょうか。

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今年からは長期熟成酒研究会もブースを出しており、人だかりが出来ていました。昨年07年はアメリカの展示試飲会「JOY OF SAKE」に熟成酒のブースが設けられ、好評だったとのこと。

日本酒の蔵元は毎年数を減らしています。酒税の一部控除も段階的な削減が進み、「中小の蔵元は廃業し、いずれ蔵元数は300程度まで減る」と言う酒造家もいます。

日本全国に、地域の風土で育まれた日本酒があります。かつて、日本酒は自然のサイクルの中で親しまれていました。平安時代に小野篁(おののたかむら)という歌人がいます。百人一首の作者のひとりです。彼はある時こう謳いました。これは、約1200年前の風景です。

人さらに若きこと無し 時須く惜しむべし
年常に春ならず 酒を空しくすることなかれ

意訳:時間には限りがある 無駄にしたくないものだ
春はあっという間に過ぎてしまう 杯を満たしこの時を楽しもう

時代を明治~昭和前期に移しましょう。戦前の日本では、各地に早苗饗(さなぼり)焼酎というものがありました。寒造りの日本酒を搾ったときに出てくる酒粕を使って、再発酵させたものを原料とした焼酎です。

飲めるようになるのはちょうど田植えの季節で、初夏の季語となりました。田植えで疲れた体をいたわり、豊作を願いながら飲んだといいます。搾りかすとなってアルコールの抜けた酒粕は、田圃や畑の肥料に。このエコ・サイクルは伝統的な風物詩でした。

この国は米が主食であり、清酒に国名を冠しています。しかし、これまでの文化を知らずに過ごしていると、気が付けば伝統は失われているかもしれない。
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温故知新ですね。日本酒フェアは様々なことに気付かせてくれるいいきっかけとなりました。

※詳しくは記事に書いていますが、洞爺湖サミットでは各国首脳の参加するディナーで日本酒を振る舞うという意向があります。しかし、ここで日本、北海道をPRするにあたって日本酒のプロフェッショナルが関わっているという気配がありません。00年の九州・沖縄サミットではソムリエ(ワインのプロ)である田崎真也さんがドリンク関係を担当しました。この点について問題意識を持ち、新たな動きを起こそうという気運があります。

次にサミットが日本で開催されるのは、おそらく8年後でしょう。それまでに結実するよう、今から着実に歩を進めたいものです。
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by sake_writer | 2008-06-25 05:53 | ライター仕事
8月、横浜で居酒屋産業展
最近はこのような大規模展示会も減ってきましたね。

居酒屋産業展
http://www.izakayaexpo.com/outline/index.html

時間を作って行ってみたいと思います。
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by sake_writer | 2008-06-22 19:34 | 読む聞く知る
日仏交流150周年、トゥールダルジャン・パリ本店から総料理長およびシェフソムリエが来日
日仏交流150周年を迎えた今年、トゥールダルジャン・パリ本店から総料理長およびシェフソムリエが来日するそうです。ホテルニューオータニ内の支店でセミナー等が開催されます。

Wine Salon Dinner ワインサロンディナー
【 30名さま限定 】
日 時 :7月5日(土) 7:00 p.m.~
料 金 :1名さま ¥40,000 
(※お飲物・サービス料共)
パリ本店シェフソムリエDavid Ridgway を囲むトーク&ディナー
David Ridgwayがセレクトしたブルゴーニュの銘醸ワインのかずかずと、パリ本店特別メニューとの絶妙なマリアージュ。
個室サロンで少人数限定にて、世界一と評されるパリ本店ワインセラーを27年間守り続けてきた世界的に著名なソムリエによる貴重なトークを。
特にブルゴーニュでの彼の名声は高く、長年にわたる作り手との交流による楽しいエピソードや、新しい発見の話など存分にお楽しみいただけます。



Wine Seminar ワインセミナー
【 30名さま限定 】
日 時 :7月12日(土) 7:00 p.m.~
料 金 :1名さま ¥15,000 
(※お飲物・サービス料共)
1812年創業という古い歴史を持つメゾン、ローラン・ペリエは多くの世界のVIPに愛され続けているシャンパーニュです。
メゾンの個性を体現するさわやかで優美なローラン・ペリエ・ブリュットからプレスティージュシャンパーニュであるローラン・ペリエ・グランシエクルまで、ローラン・ペリエのシャンパーニュ(6種)すべてのテイスティングをお楽しみいただけます。



・・・詳しくはホテルニューオータニHPにあります。
http://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/tour/2008/pari/index.html
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by sake_writer | 2008-06-18 09:11 | 読む聞く知る
月夜
今宵、月がきれいだったので撮影してみました。肉眼では赤い月だったのですが、写真では黄金色に写りました。

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都内は少し高い場所からの夜景がきれいですね。
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by sake_writer | 2008-06-17 19:40 | 読む聞く知る
焼酎賛歌2008すごいじゃん本格焼酎
藤沢の酒屋さん「とちぎや」が7月に本格焼酎の展示試飲会を行います。

http://www.fujisawatochigiya.com/news/news.cgi?mode=detail&no=70

私は04年に参加しました。蔵元から酒造家達が駆けつけて、賑やかでした。当時は寿福絹子さんがいらしていたのを記憶しています。
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by sake_Writer | 2008-06-16 20:48 | 読む聞く知る
「自宅でコーヒー ~プロ並みにおいしいコーヒーを淹れる~」という本が出版されます
いつもお世話になっている、マイコミジャーナルの土方さんがコーヒーの本を出すことになりました。これまでこんな連載をやっています。

http://journal.mycom.co.jp/series/coffee/menu.html

こちらが書籍の案内です。

自宅でコーヒー ~プロ並みにおいしいコーヒーを淹れる~
http://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%AE%85%E3%81%A7%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC-~%E3%83%97%E3%83%AD%E4%B8%A6%E3%81%BF%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%84%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%82%92%E6%B7%B9%E3%82%8C%E3%82%8B~-%E5%9C%9F%E6%96%B9-%E5%B9%B8%E5%AD%90/dp/4839927901

発売は今週末の21日(土)です。コーヒー好きなので読むのが楽しみです。私自身が本を出すのはいつかって? よく聞かれますが、まあのんびりと・・・今年中には目途をつけます。
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by sake_writer | 2008-06-16 16:55 | 読む聞く知る
世界最大のビールメーカーの戦略
世界最大規模のビールメーカー・インベヴがアメリカ市場へ進出する意向がはっきりしました。

インベブ、アンハイザーに買収提案
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCFF9558.html

この組み合わせは昨年初頭から情報が出ていました。世界各国でのシェアのみを見るといい組み合わせですが、事業方針を考察すると足並みが揃っているとは言えません。もし私が株主でしたら、10年後を考えた場合、事業計画の内容によっては買収にNoという判断をするでしょう。

仮にこの話がまとまった場合、アメリカ国内のクラフトビール業界にとっては受難の日が訪れますね。日本国内の再編はいつのことやら・・・。
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by sake_writer | 2008-06-13 16:14 | 読む聞く知る
梅酒の人気投票、5800票によって選ばれたベスト10を発表
124銘柄が出品されたそうです。3月開催なので、ニュースとしてはちょっと古いですね。

http://www.umeshu-collection.com/vote2008.html

梅酒ブームをはっきりと感じたのは04年くらいです。当時は過熱気味で、4合瓶で5000円を超える梅酒も発売されたと記憶しています。

今では随分とバラエティに富んできました。ベスト10のうち飲んだことあるのは3つだけです。全部飲んでみたいですね。
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by sake_writer | 2008-06-12 11:35 | 読む聞く知る
訂正
申し訳ありません! <(_ _)>

昨日、日本酒フェアは12日(木)と案内しましたが、今日の間違いでした。私自身昼過ぎまで気付かず、スケジュール表を見て「あれ? 今日のところに印が付いているが・・・」と、HPを見て確認、急いで会場に向かいました。

当日合流するはずだったHさん、本当に申し訳ありませんでした。

今回の日本酒フェアは収穫がたくさんありました。いずれ、その内容はお伝えします。
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by sake_writer | 2008-06-11 17:33 | ライター仕事
ワタミの戦略
ワタミは、「わたみん家」全125店舗でサントリーのビールをアサヒのビールに入れ替えます。これはなぜでしょう。

ワタミ渡邉美樹社長が真相を激白!「アサヒビールと取引する本当の理由をお話ししましょう」
http://nr.nikkeibp.co.jp/topics/20080328_3/

この背景にはサントリーの企業戦略と消費者の意識の乖離があると思います。アンケート調査をすればその辺りも炙り出されるでしょうが、そういったデータは出てきていません。21世紀初頭のこの時代を後世はどのように説明するのでしょうか。
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by sake_writer | 2008-06-10 20:13 | 読む聞く知る
  

お酒は生きています。お酒を深く知ることが日本を、世界を旅するきっかけとなればと思います。
by sake_writer
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