ミシュランガイドを10倍楽しむための予備知識
今年もミシュランガイド東京(横浜)が発売されます。11月27日だそうです。先日ミシュランガイドの覆面調査員の話を聞く機会があったので、ここでミシュランの調査の特徴についていくつか書いてみます。

ちなみに私は初年度にミシュランガイド東京の取材をさせていただきました。雑誌『女性自身』でミシュランが日本人の覆面調査員を募集しているという記事を書いています。

元同業だからでしょう、私は覆面調査員を「おそらくそうだろう」と見破りました。お店をやる人間が覆面調査員だけを意識するのはいいことだとは思いませんが、お客さんの求めるものを読み解くことは大切です。ミシュランガイドの本質を知るべきでしょう。

さて、まずは覆面調査はどのように行われるかを見ていきましょう。

覆面調査員が調査として行う行動は4つあります。見る、聞く、味わう、記録するの4つです。

ミシュランは「皿の上の料理だけを評価する」というスタンスです。これを料理人の腕だけで星がつくと考えるのは間違いで、サービスマンが最もおいしい状態で料理を提供するということまで含まれます。この点について、調査員はとてもよく観察をしています。しかし、調査員はそれと疑われてはなりません。通常は複数名で来店し、ごく気づかれないように観察します。連れの肩越しであったり、目の端で見たり、窓ガラスの反射で観察したり。

「聞く」というのは店のスタッフに料理法や素材、個人的なリクエストに応えられるかを聞くということです。

「味わう」というのは食べること。味覚というものは個人差がありますが、料理の評価は細かくテキスト化され、採点されるようになっています。これは相対比較するためにも重要な点で、ミシュランの調査は調査員の自薦があり、偏りや癒着を避けるためにも厳密なものであるはずです。もちろんその基準は極秘(アイズオンリー)です。

「記録する」という行為について。私の調査員時代はあからさまな記録が禁じられていました。メモしたり、デジカメで撮影したり。どうしても記録する場合はちょっと携帯電話を使う、あるいはトイレに行ってメモをとる、などしていました。この点、ミシュランは規則が緩いですね。メモをとってばれたという話を聞いたことがあります。そしてデジカメ撮影をしているのを実際に目にしたことがあります。

調査員が名乗る前にそれとわかった理由はいくつかあります。まずは「店のあらゆる料理を味わい、穴のない評価にしよう」として少々不自然な行動をとったこと。通常なら食事の最初に頼むであろう料理を、なぜか食事の最後に追加注文していました。ミシュランの調査員は目立つことに対して無頓着ですよね。当初は欧州の調査員が中心で、日本語も拙かったと聞いています。

そして調査員は厨房の方をじっと観察していました。目立たないように。店のいろいろなことに注意を払っている割に一線を引いて観察している。これが彼らの特徴です。

いくつかの経緯を経て私は彼が調査員であることを確認しました。ミシュランの覆面について参考になる情報がウィキペディアにあります。私の知る限り正確そして精密に分析しています。機密にあたる情報まで書かれていますね。

ウィキには自薦OKとあります。私の接触した調査員もそう言っていました。「そもそもどの店が候補になるのか」というのは東京版が「認められる」ための課題となっていました。初年度は日本のグルメ家に協力してもらったと聞いています。これは山本益博でしょう。確信犯的に東京版と刊行日をかぶせて自著を出しましたしね。

初年度は多くの批判を受け、反省をふまえて日本人調査員を採用し、少しずつ日本に「馴染んできている」ミシュランガイド。「調査が覆面ではない」という根本的な疑問は解消されていませんが、「これまでのグルメ本に比べればましではないか」というのも正直な感想です。

とは言え、ミシュランの調査員は脇が甘い。自薦OKということを外部の人間に漏らすし、本名を名乗らないのに店の会計をクレジットカードで済ませています。さらには、取材・撮影をするために身分を明かしたスタッフが、後日改めて店を利用することもあるそうです。眩暈がするくらい脇が甘いですねえ。

ミシュランガイドは個別に見ると、いくつもの疑問が持ち上がります。私が個人的に気づいた疑問をひとつ挙げます。これは京都の蕎麦屋「にこら」(一つ星)で発見しました。

日本の伝統的ではない調味料を、伝統的な料理の中に「混ぜる」ことをどのように評価しているのか。そもそも、この事実に気づいているのか。

これらのことをふまえて今年のガイドを読み、食べ歩きをするとよりいっそう楽しめることでしょう。
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by sake_writer | 2010-11-21 04:25 | 読む聞く知る

お酒は生きています。お酒を深く知ることが日本を、世界を旅するきっかけとなればと思います。
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