蕎麦食い 東長崎「手打ち蕎麦じゅうさん」
電車を利用して訪れる方にとって、店までの道のりは不安になるでしょう。遠く、そして「こんな場所に蕎麦屋があるのだろうか」という立地にお店があります。

それでも信じて大きな車道沿いに歩いていくと15分弱で辿り着きます。

店に入ってほっと一息。駆けつけ1杯。日本酒は冷酒で5銘柄ほど、燗は金鶴だそうです。ぬる燗ともりを注文しました。金鶴は醸造酒の甘さとアル添の辛さ、苦みがそれぞれ感じられます。

この店の蕎麦の特徴は「濃口醤油を素材の一つとして計算している」点に見られます。蕎麦や鰹節という素材を活かすために醤油を目立たなくする蕎麦屋が多い中、この店は濃口を活かし、それが突出しすぎない蕎麦を実現しています。

通常、蕎麦において瑞々しいという表現はプラス評価ではありません。なぜなら瑞々しさは素材の活かし方ではなく、蕎麦の洗い方に由来するからです。そして瑞々しさは蕎麦本来の欠点を覆い隠します。

ところがこの店の蕎麦は瑞々しく、それは欠点を隠すためではなく醤油をも活かす計算の中でプラスの効果が見られます。

もりは蕎麦の基本、食感および喉ごし、甘さ、風味、蕎麦切りの正確さにおいて喉ごし、風味に特徴を感じました。しっとりとしていて、蕎麦の心地よい香りが抜けます。

にしんと冷や奴を追加します。にしんは身が柔らかくて、ねっとりと甘みが凝縮しています。

通常にしんはにおいを抜く下処理に数日かかります。そしてその処理にどれだけ手間をかけるかが料理としての出来として評価されます。「臭みがなくぱさつかない」にしんを目指しています。

ところがここのにしんは臭みが感じられず、それを覆う意味合いでの醤油味もありません。にしんの香味とその味わいに照りを出すための醤油味だけで、素材の良さをそのまま出しています。添えられた箸で切れるほどとろとろになった昆布も雑味が感じられません。

冷や奴は木綿豆腐に自家製という湯葉がのせられています。大豆のさっぱりとした風味が感じられます。

天ぷらと田舎蕎麦を追加しました。あべかんの冷酒を頼み、ゆっくりと流れる時間を楽しみます。

エビ、椎茸、里芋、オクラのてんぷら。衣が薄く、素材の食感が感じられます。火の通りがほどよく、噛むと素材のうまみがじゅわっと出てきます。

田舎蕎麦は切れ切れで、そのためにドーム状の盛りつけにしています(平らに盛ると箸でつまみにくいので)。量は90グラムくらい。食感に特徴がありますが、香りはもりそばの方が勝っていたと思います。

料理の種類は10種類くらいだったと思います。蕎麦前を楽しむには、物足りない品数です。料理は醤油味のものが多く、その点も地味に見受けられます。周りのお客さんは蕎麦を食べに来ていて、飲みながらつまむという方はいませんでした。

醤油という素材を積極的に活かす調理法、バランスのよい仕上がり。シンプルに素材を感じられるもり蕎麦において、この店の真骨頂を味わえます。
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by sake_writer | 2010-11-17 18:53 | 食べ歩き

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