人気ブログランキング | 話題のタグを見る
蕎麦食い 大森「布恒更科」
大森の駅から歩いて5分。人や車の往来が少ないとおりに面して、風格のある蕎麦屋が佇んでいます。

店内は年季の入ったこしらえで、それでいて清潔感があります。引き戸を開けて左手には手洗いの洗面台がありました。このお店のあり方がよく表れています。

まずはあさひ熟撰・瓶ビール。お通しは煮豆です。薄い味付けで、柔らかすぎず、艶のある仕上がりでした。店内の色合いといい、掃除の行き届いた小庭といい、ほっと息を抜ける雰囲気でした。

もりに穴子天ぷらをつけると1100円アップとなります。この値段で身の大きな穴子が2匹ついていました。私の想像していた3倍近いボリュームでした。輪切りのスダチに大根おろし、隣にそば薬味でしょう、白ネギがついています。衣はサクッとしていて、身からは穴子特有の土っぽいにおいが感じられました。

もりは200グラム近くありまして、通常の1人前で大盛りクラスです。もり汁もたっぷりと用意されていて、150CCほど。天つゆも兼ねています。もりそばは蕎麦の基本、食感および喉ごし、甘さ、風味、蕎麦切りの正確さにおいて風味を感じました。

特筆すべきはもり汁の味でしょう。コクがあってサラッとしており、酸味とほのかな甘みが一体となっています。丁寧に煮込んだソースのごとき味わいです。その特色は緑茶と紅茶に例えられます。

ほかの蕎麦屋のもり汁が緑茶なのに対して、この店のものは紅茶ではないかというくらい格段の差が感じられます。食後にそば湯で割ると甘みがゆっくり感じられました。

有名な高橋さんはもり汁にワインビネガーを使っています。この店でも酸味のある素材でバランスを整えているのではないでしょうか(あるいは醤油に特徴があるのかもしれません)。それが火入れや熟成(発酵)によりまとまっています。このような考え方でもり汁を仕上げる蕎麦屋さんがあるというのは驚きでした。

このもり汁でわさびが付かないのは相性を考えれば納得できます。料理として考えたら、添えられるのはホースラディッシュの方がふさわしいのではないでしょうか。

このつゆには生粉打ちか粗挽きを合わせてみたいですね。あつもりも面白そうです。腹具合に余裕があれば深川蕎麦も食べたかった・・・。料理ががっつりのボリュームなので、数人でシェアするつもりで、品数はセーブした方がいいと思います。日本酒が多種あり、飲んで楽しめる蕎麦屋さんです。
by sake_writer | 2010-11-13 08:40 | 食べ歩き

お酒は生きています。お酒を深く知ることが日本を、世界を旅するきっかけとなればと思います。
by sake_writer
最新のトラックバック
ファン
ブログジャンル
画像一覧